ピアノの生徒さんの一人に、
「指に過度の力が入っていて、思うように弾けないことが嫌で更に力んでしまう」という子がいました。
もうピアノは辞めたい・・・
そう思うほどに何度も嫌になりながらも、頑張って通っていたので、私は「どうにかこの状態からこの子を救い出したい」と思い、思い切ってそれまでテキストに沿って進んでいたのですが、一旦それを辞めてみました。
その間、この子がその時に《やりたいこと》《知りたいこと》に耳を傾けながら、それに沿って「今この子に必要なことはなんだろう」と内容を模索しながらのレッスン。
そうしている間に、浮かない顔で帰ってしまうことが少なくなり、笑顔で「また来るね♪」と言って帰ることが増えてきました。
半年を過ぎた頃、「あ!久しぶりに前やってた本やろ!」と自分から手を取り、以前思うように弾けなくて嫌になっていたページを開いて、弾いてみたら…
あれ?すんなり弾けちゃった!!??
次の曲も、
あれ??またすんなり弾けちゃった!!??
テキストから離れた半年の間、寄り道しながらもしっかりと学んでいたからこその、この結果。
半年の間に身につけたのは、おそらく以下のようなことでしょうか。
・「ちゃんとやれなきゃいけない」という思考が薄まった
・やりたいのにできないことを「できる」に変えるプロセスを何度も体験して、「今できなくてもやり方次第で自分にもできるようになれる」という自信がついた
・できなくてイライラしだした時の脱却方法を見つけた
・できたことを見つけたらすかさず自分を褒める
・ピアノの弾き方や表現方法に色んな選択肢を見つけた
・指を動かす、その神経システムが形成されてきた→必要な適度な力で弾けるようになってきた
本当にそうなのかは分かりません。
ですが、本人の成長は明白です。

私が小さい頃、学校から寄り道せずに帰りなさいと言われた覚えがあります。
「どんな危険なことがあるか分からないから」なのかもしれませんが、寄り道をするのは大きな好奇心の表れ。
やりたいテレビゲームがあるなら、寄り道せずに一目散に家に帰るはず…でも、家よりも、興味の対象が道すがらにある”何か”に向かうから、寄り道するんですよね。
その好奇心の中では、どんなことも吸収できちゃうし、記憶にも残りやすいはず。
寄り道は学びの宝庫なのかもしれません。
「ん?あれなんだろう?」
「あ、あれ興味ある」
「これをしたらどうなる?」
「これをしなかったらどうなる?」
そんな好奇心のもと、音に触れていくと、新しい発見に出会えます^^