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金賞を取りたいグループと楽しくやりたいグループで、どんな練習をしていけば…?

この記事は、前回の記事で「音程が合わなくて・・・」と相談をしてくれた、中学吹奏楽部員Aちゃんからのもう1つの相談内容から考えたものです。


その内容とは、


「金賞を取りたい子たちと、楽しくやれれば良いという子たちで、気持ちが違っていて、仲が悪い訳ではないけど、気持ちが違うからなんか…どう練習していったらいいのか…」


というものでした。



この時期、学校・職場等の吹奏楽団体は毎年夏に開催される吹奏楽コンクールに向けて練習に励んでいます。


そのコンクールでは、数名の審査員が各団体の演奏を聴いて審査し、その演奏に対して、金賞・銀賞・銅賞の評価を下し、金賞受賞団体の中からは上位大会への代表権が選ばれます。


同じ団体で演奏するメンバーの中に、

演奏するからには「金賞を取りたい!」と考える人もいれば、

賞にこだわらずに「楽しくやりたい」という思いの人、

両方いてもおかしくありません。


これは、吹奏楽だけに限らず、スポーツでも、仕事でも、

同じメンバー内で考えが違う」というのはよくあることで、

その気持ちの違いがわだかまりを生み、歩調が合わなくなってしまうなんてこともよく聞く話ではないでしょうか。


気持ちが違うメンバーで演奏していくためにどうしたら良いのか…??



そんなことを、この子の場合を例として考えて行きたいと思います。

(ここに書いていることは、あくまでも今の私の見解です。そして長いです・・・^^;)





共通点は何か

レッスンに来て相談してくれているこのAちゃんは金賞を取りたいグループに属しています。


金賞を取りたいグループと、楽しくやりたいグループ、

相違点は、賞に興味があるかないかではっきりしているようですが、相違点ばかりに目がいっていては、アレも違うコレも違うと、どんんどん発想が膨らんでいくので、

逆に2つの共通点は何かないか問いかけてみました。



そこで出て来たのはこんな感じ↓


・音楽が好き

・曲を演奏する

・吹奏楽が好き

・吹奏楽部を選んだ

・楽器が好き

・一緒に演奏する

・コンクールに出る

・楽しく演奏したい



こう挙げてみると、共通点は多くあるものですね。


コンクールに向けた練習に励んでいる中、『コンクール』に照準を合わせるのは当たり前なのですが、

本当に大前提で根底にあるものだからこそ、見えなくなってしまうことが多いこれらの想い。



どちらのグループにも、


♬音楽が好きだから音楽をする

♬吹奏楽で複数人で演奏したいからする

♬演奏する曲のこの部分が好き!

♬この部分、みんなで盛り上がって楽しい!


だから演奏する。



金賞を取りたいグループにとっても、楽しくやりたいグループにとっても、

このような想いに沿って演奏するのであれば、気持ちは同じになりませんか?




コンクール〜結果は審査員に委ねられるもの

「金賞を取る。」


目標としてよく聞かれるものですが、

そもそも、金賞を取れる演奏とはどんな演奏なのでしょうか?


Aちゃんからは「審査員に気に入られる演奏」という言葉がありました。


そう、審査員

金賞というコンクールの結果は、審査員の視点が入って初めて生まれるもの


そして、審査員がどんな演奏を気に入るかどうかは、審査員一人ひとり異なるそれぞれの好みが反映されます。


その審査員本人が「こういう演奏であれば金賞です!」と評価基準を明確に言っていればどんな演奏を目指すかが少し見えてきますが、 それでも結局のところ最終判断は審査員自身に委ねられるので、

結果はどうなるかは分かり得ないこと。


結果は私たちが管理できる領域の範疇を超えたところにあります。



結果は審査員という他人に委ねるしかないので、自分が出来ることは何なのかを考えていく方が建設的です。



「結果は後から付いてくる」そのために、自分ができることとは?

結果は審査員に委ねられもの。


その上で自分が関与できるのは、

自分が望む演奏・音楽がどんなものなのかを考え、考え出したその音楽演奏を遂行していくところまでだと思います。


Aちゃんに、どんな演奏がしたいのか尋ねてみると、


「そう言えば、銀賞だった時は納得いく演奏ではなくて全然楽しくなかったです。楽しんで、自分が納得する演奏がしたいです。」と話してくれました。



自分が楽しんで、納得する演奏は、


「審査員に気に入られるようにしなければ/練習した通りにしなければ/先生に言われた通りにしなければ」と、何かしらの義務感を持ちながら、楽譜にある音を出していくのではなく、


演奏する曲がどんな音楽の世界観・物語なのかを想像し、演奏するみんなでそれをシェアしあって、

先生や自分たちでクリエイティブに、どんな音で、どのように音が繋がり・重なって行くのか演奏プランを構築し、

流動的に(ある種即興的に)、その時々に生まれる音楽を楽しみながら音を生み出していくことでもたらされるんじゃないでしょうか。



そうして生まれた音は、義務的に生み出される音よりも遥かに柔らかく心に響いてきて、些細な音のミスが起きたとしても気にならないものにもなると思います。



音楽を楽しんでこそ生まれる結果がある

審査員は、音楽家としてプロの方がします。


その方々は、楽器の演奏技術が優れているだけでなく、音楽を楽しむプロであると思います。


もしも音楽を楽しんでいない演奏があれば、審査員はそれを見抜くのではないでしょうか。


楽譜にある音を楽譜にあるタイミングでただ鳴らしていくものであったり、

審査員に気に入ってもらえるように結果にとらわれて取り繕った演奏ではなくて、

本人たちが心から演奏を楽しんでいる演奏の方が印象が良いと思います。




それに結果が伴ってくるか伴わないかは、審査員それぞれの好みがあるのでどうなるのかわかりませんが、


もしも結果が金賞という期待にそぐわなくても、


「この演奏は好みではなかったんですね。でも私(私たち)は十分やり切ったし、楽しかった!」


と、自分たちが自分たちの演奏に納得できたかどうかの方が大切なのではないかと思います。




泉山民衣

兵庫県在住。
サクソフォン奏者・アレクサンダー・テクニーク教師。
昭和音楽大学卒業。

​​

顎関節症、腱鞘炎になったことから、自身の身体の使い方に原因があるのではと考え、2016年からアレクサンダー・テクニークを学び、2021年教師資格取得。

​大阪アレクサンダー・テクニーク教師養成課程OPALサポート教師。

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