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演奏するために『やること』とは


「演奏する」と言うのは実に多くのことが常にずっと同時進行で進んでいます。


演奏するためには、

指が楽器のキーやピアノの鍵盤に向かい、

そのためには腕も一緒に動き、

得たい音を出すための動き方や呼吸の仕方もあって・・・


結局は、その部分だけでなく、体全体がさまざまなパーセンテージで動きに関与しています。


ですが、よりたくさん動いている部分(例えば指)に関心や意識が集中しがちで、

他の部分がおざなり、置いてきぼりになってしまっていることがよくあります。


そして体の動きにプラスして、「音をどう表現するか」も入ってきます。

体の動きにしても、音の表現にしても、

どんな風に、どうやって外の世界に表出するかをつかさどるのは頭(脳)

頭(脳)で考えていることが重要になってきます。

 

それを踏まえてここからは私がアレクサンダー・テクニークのレッスンを受けた時のお話です。

この時の先生は、私が通う学校の校長ジェレミー。

私が、これこれこういう状況で、どうしたら良いかわからないと相談しました。

すると、

この曲を演奏するために何をするのかを言葉に出して言ってみて」と言われました。

「動きと曲の表現のこと、どちらもですか?」

と私が言うと、

「当たり前だー!!それがしたいんだろう?!」

とジェレミー。

その時にやっと私が動きの演奏プランと表現の演奏プランを別々に考えていたことに気付きました。

これまで、動きについて考えると、確かにからだ的に楽に演奏できるようになるけど、

音楽性をそこに含ませようとするとうまくいかなくなり、どうしたらいいんだろうと悩んでいました。

ですが、演奏する=動きのプラン+表現のプラン

動きも表現も合わさったプランが必要だったのです。


そうして、『この曲を演奏するために何をするのか】というプランを言っているうちに、

それまで私がいかに演奏するためのプランが中途半端だったかが浮き彫りになりました。

表現のプラン自体、どうしたいのかがまだはっきりしておらず、

本番を考えれば周りには観客や伴奏者・共演者が必ずいるのに、演奏プランには抜け落ちていて。

自分がなりたい・したい理想の演奏の姿が不明瞭だったのです。

これがまだ未完成なまま練習を重ねていたから、

やってもやっても何かしっくりこなくて、

何をどうやっていけばいいのかがわからなくなる状態になっていたのですね。


ゴールがはっきりしないままスタートして、

吹き終えた時には「なんか違う」と思って、

その時の演奏で抜け落ちてたなと思うことを考えてまた演奏し直す。

すると、その抜け落ちた部分はできるようになるけど、

それまでできていた部分がまた抜け落ちて・・・


望んでいないことが起きてしまっていました。


 

【演奏・曲の表現のために自分がやることを、具体的にプランを立てる】

  • この曲で表現したいストーリーとは?

  • この曲はどんなイメージの曲?

  • この曲のどこが印象的?

  • この曲はどんな風に始まってどんな風に終わる?起承転結は?


  • 誰とこの曲を分かち合う?共有する?共演する?

  • どこでこの曲を演奏する?

  • 誰がこの曲を聴く?

  • この曲を演奏する時間、どんな風に過ごしたい?どんな空気感がいい?

  • わたしは演奏するその場でどのように存在したい?


  • 何の楽器で演奏する?

  • その楽器はどうしたら音が鳴る?

  • その楽器はどうしたら音が消える?

  • その楽器を演奏するために、わたしはどんな動きをする?(楽器に触れ、持ち上げ、支え、吹き口と自分の口が出会い、必要なだけ息を吸い、キーを操作し、空気を動かして音を紡いでいく…)


  • 自分の身体をフルに活用するために何をする?(頭が動くことを自分に許可し、脊椎も頭の動きに連動・協調し、自分全体で音楽を表現するために自由に動くことを毎瞬毎瞬軽くリマインド)



複雑なことを同時にやるからこそ

「何をやる必要があり、何をしなくていいのか」を明確にする重要性に気づけ、

どう練習をしていくのか、、、


活路が見えた気がします。



演奏・曲の表現のために自分がやることを、具体的に考えることは大事ですね。

泉山民衣

兵庫県在住。
サクソフォン奏者・アレクサンダー・テクニーク教師。
昭和音楽大学卒業。

​​

顎関節症、腱鞘炎になったことから、自身の身体の使い方に原因があるのではと考え、2016年からアレクサンダー・テクニークを学び、2021年教師資格取得。

​大阪アレクサンダー・テクニーク教師養成課程OPALサポート教師。

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