先月末、アレクサンダー・テクニークの大先生、キャシー先生が来日されていて、
レッスンを受けてきました。
この先生は役者として培ったパフォーマンススキルも相まって、
演奏に繋がる表現の仕方を教えてくださり、
仰ることがとってもシンプルで尚且つ的を射ていて、
ハッとさせられます。
それを胸に、高校のサクソフォンパートのレッスンへ行った時のこと。
毎年この時期は吹奏楽コンクール。
3年生は今まで頑張ってきた集大成。終われば引退。
あと残りの時間をどのように考えて練習していくかが大事。
そのレッスンの中で、
やってみてとても効果があったことを書きます。
マーチの曲の中で、♩♩♩♩という単純な伴奏にソロのメロディーという箇所があり、
吹いてみてもらうと、音は鳴っているけどマーチのハツラツさが欠けている印象でした。
みんなの演奏もそれぞれでバラバラな感じで、
本人たちの間にも演奏に安定感がないという印象を持っていました。
そこで、まずイメージ作りが大事だと感じたので、
楽器は置いといて次のような提案をしました。
子どもの頃にやったような電車ごっこのように1列に並び、
両手を前の人の肩に置いてみんな繋がった状態で、
自分のパートを歌いながら、
♩♩♩♩のリズムに合わせて歩いて一緒に動く。
♩♩♩♩|♩♩♩♩|♩♩♩♩|・・・のカウントも、
単調に1・2・3・4・1・2・3・4・・・と感じるのではなく、
4→1,2→3,4→1,2→3,4→1・・・
→の部分に次へ進むエネルギーが生まれることを意識します。
これはノートグルーピングと呼ばれるリズム論で言われていることでもあります。
最初はやっぱり、繋がっていても、ひとりひとりがバラバラに動いている感じでしたが、
先頭(ソリスト)は前へ後ろのみんなを連れていく気持ちと、
その後ろ(伴奏隊)は自分の前の人と同じ動きで一緒に付いていくようにしてもらうと、
みんなの気持ちも動きも、合ってきました。
そして、この動きのイメージを持って演奏してみたら、
推進力が増し、一体感が出たのです。
聴いていた人も、奏者自身も、この違いにびっくりでした。
「吹いてて楽しいです」
「まとまった感じがありました」
「音が自然と進んでいく感じでした」
と。
楽譜にある音を鳴らし、上手く音を並べようとすることだけが練習ではなく、
その音楽を実際の動きに繋げてイメージし、それをみんなで統一することも、
アンサンブルにおいて、立派な、それもかなり有効な練習になると感じています。
吹奏楽をしている中で、多くの人が同じ曲を演奏するのに関わっているのに、
自分のことに精一杯になったり、
1人だけでなんとかしようとしたりすると、
音楽の一体感が薄くなってしまいます。
周りの存在を「同じ音楽をする仲間だ」と認識し、
隣り合うみんながみんな同じ空間で含み・含まれ、
一緒に繋がって歩くように、
音を奏でて作り上げていくと、
とても素晴らしいものになるのだろうと思います。