(2021/10/21改訂)
以前、ピアノでオクターブのトレモロ奏法をしていて、 私は手が小さいからと、一生懸命広げながら、必死に親指と小指を交互に打鍵していました。 本番が近くなるにつれ、親指の付け根あたりに違和感を感じるようになり、なんとか本番を終えましたが、、、
完全に腱鞘炎になってしまい、数ヶ月に渡って演奏にも日常にも支障が出てしまったことがあります…

痛みは身体からのSOS
ピアノを打鍵するとき(管楽器で指を使うときもそうですが)、
「次の音はこの音だからこっちに動かさなきゃ」
「早く動かさなきゃ」
と思ったとき、
鍵盤やキーに触れるその指に意識が行っちゃうもの。
思うように指が回らないときも、
「練習が足らないからだ。いっぱい動かしてやらなきゃ!」
と必死に指を動かすように頑張り、
練習後、どこかに痛みがあったり、最悪の場合私のように腱鞘炎になってしまうんですね。
アレクサンダーテクニークを学ぶのを機に、
身体の構造・しくみについても学ぶ中で、
「痛みは身体からのSOSであり、動きを改善する良いタイミング」と思えるようになってきたのですが、
『指を動かすためにどうしたらいいのか』、今までの考えとは違う、新たな方法に取り組む必要があるのだと感じています。
指を動かすのはどこからか
長い間、2〜4の指を動かす=第1関節・第2関節を動かす
と思っていました。
でも、違ったようです。。

パペットマペットで口をパクパクさせる時に曲げるところで動かす
関節で言えば「第3関節」なのですが、
その関節は手のひらの感情線のシワのあたりにあったのですね。
そこも動けると思って動かすと、
かなり動きやすく、打鍵の力強さも得られ、ピアノを弾く小さなお子さんも音が全然変わりました!!
指を動かしやすい関節は「手のひらの中にもあったのだ』と認識を新たにしました。
指を広げるのはどこからか

これも、指先にばかりとらわれていましたが、もっと手首の方も広げられる可能性があったのです。
手首にはたくさんの小さな骨(=手根骨)が集まっていて、
それぞれの骨と骨の間に隙間を作ってあげるように広げる
すると、
今まで限界だと思っていた開きよりも、更に広げられるという事実に出会い、私のこの小さな手でもまだ限界ではなかったんだと嬉しくなりました。
(画像の○で囲ったあたりの動きです)
トレモロ
そして私を苦しめたトレモロです。
指先を動かすのに頑張っていたあの頃ですが、

丸いドアノブを回すときにひねる、肘から先の動き
が有効でした。
肘から手首まで(前腕)には2本の骨があり、1本は肘から親指側へ、もう1本は肘から小指側へ繋がっています(肘の出っ張りは小指側につながる骨です)。
(是非ご自身の腕で触って確認してみてください。その方が脳が認識しやすく、動きやすくなります)
手のひらを上にして、小指側が親指側を飛び越すように動かすと、手のひらは下に向く。また親指側が小指側を飛び越すように動かすと元に戻ります。
これがドアノブを回すような動きで、動きの名称としては回内・回外と言います。
トレモロをするときは、中指を軸にして、小指側と親指側がロールするようなイメージです。
この動きを利用すると、指先で頑張らなくても良いんですね。
手を構成する骨のしくみ、知っている日常の動き、
そこに目を向けると動きの質が変わる。
アレクサンダーテクニークを学ぶ中で、嬉しい発見に出会い、
自分の限界だと思っていたものにまだまだ上手くなれる可能性があるということが喜ばしく、
この先の道を照らす光がまた輝き出した。
そんな感じがします^^