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曲のストーリーの中での自分の立ち位置を考える


『歌うように吹きたい!』


そのために、楽器ではなく、シンプルに『歌う』ことについてアレクサンダー・テクニークのレッスンを受けました。



前回は自分の立ち位置を「代弁者」として演奏する

としていましたが、ふと「傍観者」が良いな、と思ったのです。

代弁者・・・本人に代わって話をする者。

傍観者・・・傍でただ見ているだけの者。

2つの言葉は意味合いが違いますよね。

「傍観者」の方が、

その曲のストーリーの中にいるものの、

登場人物ではない。


けれど、代弁者より傍観者の方が臨場感があるイメージがわきました。


なので、

「その曲のストーリーを近くから見ているイメージだと歌いやすくなるかも?」

そんな風に思ったのです。

傍観者になったつもりで歌ってみる


自分が登場人物となって感情的に動くのではなく、

登場人物がどこでどのように何をしているのかを

そばで見ている人として、

その情景を思い浮かべてお伝えする(歌う)だけ。

そうやって歌ってみると、

前回の歌とはまた違った表現の歌になりました。

そしてこちらの方がわたしにとっては良いと感じました。

とても冷静に

音楽のストーリーをそのまま歌えた

そんな気持ちになったのです。

「そうか、傍観者だ!」

私にとっての新たな、そして大事な演奏時の要素が見つかりました。

演奏プランの再構築

それから、

アレクサンダー・テクニークの大事な部分である「自分の身体への指示」を付け加えてこんなプランが出来上がりました。

頭が動くことを自分にお願いして、

脊椎の長さを思い出す(仙骨まで)。

股関節を思い出し、自由に動かせる状態へ。

腕は鎖骨・肩甲骨を含み、鎖骨から動ける。

頭から脊椎までの長さは長いまま、

腕を前に動かして肘からゆっくり下ろし(肩の本来の場所へ。肩を上げることも下げることもない、自然な状態へ)、自由に動いても良い。

鼻の奥にも空気が通る道があることを思い浮かべて(副鼻腔)息を吸い、

肺に入った空気を身体全体で声に変えるべく、上へ上へ。

その曲の情景の中に傍観者となって入り、

いつ、誰が、どこで、どういう場面で、何をしているのか…物語をイメージする。

その声は聴いている人の耳だけでなく、聴く人の身体全体へと伝わり(骨伝導のように)

部屋全体に広がって行くように歌う。

そうすると、

更に身体は歌いやすく、表現しやすく、曲のストーリーを伝えやすい状態を作り出せました。

このプランは歌だけでなく、全ての演奏に繋がると私は思います。

今回の発見は、

〔私はその曲のストーリーテラーとなって、音にストーリーを乗せる〕

ということ。

私自身の考えとして、

聴いている人がそれぞれに歌を聴いて解釈してもらえれば良い

と思っていることにも気づきました。

『演奏する時の、この曲における自分の立ち位置は何だろう?』

決めてから演奏してみると表現が変わります^^

余談ですが…

ホラー映画を見るとき、

いつもビクッとなったり、ハラハラドキドキ、身を強ばらせながら見ていて、

見終わったあと疲れるということがあります。

試しに、先日ホラー映画を見るときに、

《アレクサンダー・テクニークを使って、

私は「この映画の別世界で見ている人」と思って見る》

と決めて見ると、

怖いホラー映画も冷静かつ、ストーリー展開を面白く感じながら

見続けることが出来ました!

映画の楽しみ方としては映画の世界に入り込むのもひとつだと思いますが、

自分で意図的にどういう立ち位置で見るか決めてから見ると、感じ方が違うんですね。

自分の立ち位置というのは意外に大事かも?



泉山民衣

兵庫県在住。
サクソフォン奏者・アレクサンダー・テクニーク教師。
昭和音楽大学卒業。

​​

顎関節症、腱鞘炎になったことから、自身の身体の使い方に原因があるのではと考え、2016年からアレクサンダー・テクニークを学び、2021年教師資格取得。

​大阪アレクサンダー・テクニーク教師養成課程OPALサポート教師。

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